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海苔の薄さと厚みについて|創業100年の老舗海苔店四代目が教える 海苔全形一枚の規格

海苔の美味しい食べ方

 

海苔の薄さと厚みについて|創業100年の老舗海苔店四代目が教える 海苔全形一枚の規格

 

昨今の有明海の海苔の不作をニュースをご覧になった影響などでお客様から、

「海苔が不作だから、薄くなってペラペラになったのでは?」
「ひと昔前に比べて、海苔がスカスカになった気がする。」

というコメントを頂戴することがあります。

実際に商品へのレビューや評価をいただく際にもこのようなコメントをいただいております。

しかし実は、

海苔には規格が定められているため、単刀直入に申し上げますと微妙な差異はあるものの、
厚みが変化したという事実はございません。

不作になったから海苔の原料が少なくなったので、薄く漉いているのではないか?
とのご指摘だと思いますが、地域ごとの海苔質であったり獲れる時期の海苔の柔らかさによって
海苔の歯切れなどの食感が変わったことによるものだと、私はその都度お伝えしております。

そこでそのような誤解を招かないように、またさらにご理解を深めていただくためにも、一般の消費者の方にはあまりお伝えをしていない海苔の製造規格などについて今回はお話ししていきたいと思います。

 


 

 

海苔の規格について

 

海苔の全形に は全国統一の規格基準があります。

大きさ:全形 タテ21cm×ヨコ19cm
100枚束の重量:300g前後
乾燥:水分量15%以下

 

海苔の厚みに関しては、大きさはどこも一緒ですので、「重量」で管理されます。10枚(1帖)が10束で100枚=300g前後が一般的で、350gを超えると重等級という厚めの海苔。
270gを下回ると軽等級という少し薄めの食感の海苔になります。

つまりは全形1枚3g程度という計算になります。



写真:3gの薄い海苔は1枚ずつ丁寧に加工されていきます

軽等級の出品自体まずそんなに多くはありませんし、私自身あまりこの軽等級を競り落とすことがありません。

ちなみに、海苔は江戸時代に浅草紙の四角い薄い紙状の成形方法をヒントに野口六郎左衛門が作りはじめたと言われていますが、その頃のサイズは八寸×七寸五分=24.2cm×22.7cmと今より少し大きいサイズでした。

出典:加工海苔入門 宮下章

 

お隣、韓国の海苔作りはこの基準に基づいて生産しているわけではありませんので、日本の業務用向け以外の海苔についてはこの基準では作られておりません。
ちなみに韓国では生海苔が共販(入札)で取引され、その後その生海苔を仕入れた加工会社が海苔の製造販売を手掛けており、日本の生産方式とは異なります。

 

検査について

 

海苔は海苔漁師さんにて生海苔の収穫を経て、乾海苔に成形された後各漁連の検査場で等級検査が行われます。

色味で優等級・特等級、一から七等級まで判断されますが、海苔の等級についてはこの次の段落でもお話ししますが、この数字で表す色味の他にも格付が非常に細かく分かれます。
この等級と格付が我々海苔問屋が仕入れの目利きをする入札場(=札場)での基準となるのですが、これらについてもその都度の入札回にて海苔質の変化などを見極めながら札入れ(=値決め)をしていくことが重要です。



写真:市川の共販所(全海苔)の入札場

例えば同じ「一等級」の海苔でも、入札回数が1回後になるとそれだけ海苔の色味の基準や草質の変化が見られます。
これは海苔の収穫時期が2週間から1ヶ月ほど異なるからであって、1等級だからといって同じ海苔の水準ではありません。
これはもちろん入札場が違うのであればその基準も異なります。

これらの海苔の検査を行っているのは漁連に所属するベテランの職員さんたちです。
以前の読み物にて、弊社の創業者は長野県の下諏訪出身というお話しをさせていただいたことがありますが、検査員の方ももうだいぶ少なくなってしまったとは思いますが、長野の出身の方が非常に多かったと聞いたことがあります。
九州にもたくさんいらっしゃったとか。

それだけこの海苔の等級の目利きというのは難しく、習得するまでに数年の修行を要するのはもちろん、相場に合わせて海苔を買い付ける海苔問屋の仕事というのは一生をかけて会得するものだと諸先輩方からは教わってきました。

 

等級・格付けについて

 

海苔の等級は先述の通り、

と、主には色味や艶・光沢、そして香味で判断をされています。
これらの等級付のみをされた海苔を「本等級(ほんとうきゅう)」と呼び、形状などもしっかりした海苔が多いことからお寿司屋さんなどの業務用として使われることが多いと言われています。

その他にも格付けとされる等級を更に細類に分けたり形状や重さに特徴がある海苔については以下のような等級付けをされることがあります。
これをご存知ですと、海苔通ですね、と言われるかもしれません。
括弧内は読み方です。

  • 上(じょう)
    同一等級を二階級に細類する場合の上位のもの(四等級まで)
  • 黒(くろ)
    普通等級と同程度または、それ以上の黒みがあるが、光沢不足のもの(三等級まで)
  • B(びー)
    結束不良、選別不良、乾燥われなど形状の軽微不良のものが混入しているもの
  • 重(おも)
    重すぎ、厚すぎなどにより普通等級と同一規格困難なもの(350g以上・三等級まで)
  • 軽(けい)
    一束の重量が270g未満のもの
  • ◯(まる)
    穴あきが混入しているもの
  • 小穴(こあな)
    ◯よりも小さい穴あきが混入しているもの
  • クモリ(くもり)
    塩分残量が少し多く、海苔の光沢不足があるもの
  • 飛(とび)
    青のりの藻類が7%未満混入しているもの
  • 混(こん)
    青のりの藻類が7%以上混入しているもの
  • A(えー)
    赤芽海苔もしくは色抜け海苔で、普通等級と同一規格困難なもの
  • C(しー)
    珪藻類が混入しているもの
  • 縮(ちぢみ)
    一束の中に縮み(ヨレ)のある海苔が混入しているもの
  • 破(やぶれ)
    一束の中に破れや割れがある海苔が混入しているもの
  • 外(がい)
    規格外のもの

※地域によって、「クモリ=ク」「縮=チ」「破=ヤ」など特殊な呼び方をする入札会もあります。



写真:1箱で3600枚が100枚ずつ、36束になって防湿バリアの袋に入っています

例えば、特等級の色味で少し黒みがあり、穴があるような海苔は「黒◯特」と検査員に評価され、入札場に出品されます。

写真の例ですと「新重◯1」ですから、新海苔少し厚め穴が多め1等級の海苔ですから、海苔屋さんは等級を見ただけで 「アッ、これは良い海苔だな!」とわかるわけですね。

私の場合は、色味だけではなく入札回の汐回とその時期の海苔が獲れている海の栄養塩の様子、また一番重視しているのは、実際に海苔を味見する「食味」を大切にしています。

色がとても良く、100点満点の表情でも、食べてみると一味ないというような海苔もごく稀にありますし、口溶けや香りまた重要な旨味などの味の要素は食べてチェックするのが一番だと私は思います。

どうでしょう、なかなか奥深いと思いませんか?

 

海苔焼工程での検査について

 

これらの等級や格付に基づいて、競り落とした海苔は各海苔メーカーの元に数日内のうちに運ばれて加工が始まります。

弊社で言いますと、木更津の協力工場さんでの乾燥・焼工程にも、「色選別機」が製造ラインの中に組み込まれていて、形状が不良であったり異物(砂・鳥の羽・海の浮遊物など)が入っていたりする海苔については自動的に外されます。



写真:こちらは海苔の焙煎ラインの一部、焼き具合をチェックしているところ

つまり

を経て、皆さまのお手元に届く構成は食の安心安全と、安定した品質基準の保持が実現可能となっており、そのため、お客様からコメントでいただいていた
「ペラペラになった気がする」
というご意見については、海苔の検査基準や加工段階での工程は変わっていませんから、
これらを以って我々で手を加えて薄くしているという結論には至らないかと思います。

下記の写真のように機械だけではなく、工場の中の職人さんたちの手を通してチェックされています。



写真:こうやって不良がないか目視でチェックする場合もあります

 

ただし、お客様からいただいているご意見に近しいものもありまして、

薄くなったという回答に近いのかと思われるのが、父から私(信吾)の代になって、◯および小穴等級を競り落とすことが多くなりました。

厚みには変わりがないのですがこれらの海苔は実は「美味しい海苔」の指標の一つでもありまして、生海苔を乾燥するときに収縮が起こるのですが、この収縮が強いほど海苔が柔らかく、海苔の細胞が詰まっていて、旨味が強い傾向にあります。

◯があると、それだけ海苔の密度が低いため、食感が少し軽くなりがちです。

そのため、お客様の中には「薄く(軽く)感じる」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

当店で海苔をお買い求めの方の多くは、ご家庭で日頃召し上がるという用途でご利用いただいている方がほとんどかと思います。

父からの教えは、「おいしい海苔をお客様に届ける」でしたので、業務用としては不向きなこの海苔を食味検査重視としている私にとって、この◯や小穴の格付海苔が当店の定番のラインナップにも適していると考えて仕入れを行なっております。

少し通好みすぎる内容だったかもしれません…

いろいろな工程や工夫を経て、皆さまのお手元に届く海苔。
同じように見えても、少し違うだけで食感や歯切れも味・香りも異なります。

当店で購入を
されたことのないお客様も、スーパーなどで御海苔を購入される際は

という表記を気にしていただくと、パッケージにも美味しい海苔の指標のヒントが書かれているかもしれません。

 
美味しいお海苔といえば! 築地 伊藤海苔店

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